事業紹介

再生医療とは

再生医療とは、病気や怪我などによって失われた体の機能を、細胞や生体材料を使って修復することを目指した医療です。同じような目的で臓器移植も行われていますが、再生医療では、培養した細胞や、遺伝子を導入した細胞、あるいは体に優しくなじみのよい材料と組み合わせた細胞などを用いて治療を行います。

再生医療の課題

再生医療の治療で用いられるのが「再生医療等製品」です。
細胞を使った再生医療等製品には、患者さん自身の細胞を使ってつくられる自家再生医療等製品と、第三者からの細胞の提供を受けてつくられる他家再生医療等製品の2種類があります。

現在、日本ではすでに10品目以上の再生医療等製品が国からの承認を受けて使用されていますが、そのほとんどは自家再生医療等製品です。一方、他家再生医療等製品は数品目にとどまっています。

自家再生医療等製品は、自分の細胞からつくられるため、投与した際の拒絶反応が少ないというメリットがある反面、製造に時間がかかるため緊急時に使用できないなどのデメリットもあります。
他家再生医療等製品は、第三者の細胞を用いて一度にたくさんの製品をつくることができ、在庫管理も可能なため、より多くの患者さんに必要な時にすぐに提供できるというメリットがあります。

しかしながら、日本では第三者からの細胞の入手は容易ではありません。細胞を入手し、製薬企業等へ提供する仕組みの整備が国内の医療機関や企業のごく少数ではじめられていますが、倫理的、社会的な課題も多いのが現状です。

慶應義塾大学病院のヒト体性幹細胞原料の安定供給のための取り組み

慶應義塾大学病院では、再生医療をより多くの人々に届ける仕組みづくりを目的とした「ヒト体性幹細胞原料の安定供給促進事業」に取り組んでいます。

この事業は、手術等で通常は廃棄されることになる組織や細胞を、再生医療等製品の製造や研究開発をしようとする製薬企業等に、継続的に、かつ、安定した品質で提供し、再生医療等製品開発の活発化を目指すことを目的に開始されました。

将来的には当院だけではなく、他の医療機関からもご協力をいただき、より安定的に多様な細胞原料を供給できる体制を目指していきます。

※本事業は、令和3~5年度AMED再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業「再生医療等製品用ヒト(同種)体性幹細胞原料の安定供給促進事業」に採択されました。